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歿後40年 レオナール・フジタ展
歿後40年 レオナール・フジタ展
於:上野の森美術館(巡回展)
日本が誇る画家、藤田嗣治(レオナール・フジタ)の、大作をメインにした展覧会を観てきました。
初公開の群像大作とデッサンを始め、フランスに帰化したあとの宗教画が展示されています。晩年のアトリエの再現などもあり、点数以上に充実した内容でした。
会場が上野の森美術館だったので、大作をどーんと展示するにはちょっと狭いほう。それだけに結構驚かされました。いわゆる乳白色の肌と極細の線描による女性の肖像を鑑賞し、その陶器のような美しい絵肌を堪能したあと、突如現れる筋骨隆々としたな男たちの群像! 展覧会のメイン・群像大作「構図」です。静から動へいきなり転換してびっくりです。この驚きはシスティーナ礼拝堂に入った時に似ていました。とにかく、とにかくマッチョです。線描は細いのですが、量感はミケランジェロばり。人物の動きにしても表情にしても、およそ日本人が表現したがらない肉食の絵です。日本画の繊細な技法でパリ画壇を虜にした画家は、実は骨の髄まで西洋人だったのかもしれないと思ってしまいました。
実は見ていて何か違和感を感じずにはいられなかったのです。西洋絵画は基本筋肉ですから、そういう面ではないはず…と思ったら、ハードでストイックな人物群の中に、妙な女っぽさがあるからなんですね。「犬のいる構図」のほうでは女性比率も高く、男性ホルモンと女性ホルモンがせめぎあっているような感じがしますが、「闘争」のほうはもうすべてがマッチョ。なのに男性の表情がちょっと色っぽい…みたいな違和感です。でもそれもフジタらしさなのでしょう。あと群像に猫を入れるのは反則!かわいすぎる(笑)。
後半はアトリエと宗教画です。アトリエはとてもステキで、絵の具やパレットもそのまま残っているので凝視してしまいましたね。手作りの家具や人形なども展示されていました。
器用で何でも作ってしまったそうですが、礼拝堂まで作ってしまうとは驚きです。ランスに現存する「Chapelle Notre-Dame de la paix(平和の聖母礼拝堂)」、建物、壁画、ステンドグラス…まさに総合芸術です。
フジタの描く人物の顔は、中世っぽいというか、時に宗教画に顕著なのですけど無表情でちょっとこわい。晩年の作品もフジタ様式は変わらないですが、色や線描に変化が現れ、より生々しくなっていく様子がわかります。「磔刑」をはじめとしたイエス・キリストには驚き…。フジタの描くイエスは穏やかな表情のものが少なく、人類の罪を背負った苦しみが表現された、鬼気迫る人物像です。
聖書を題材とした作品のうち、「イヴ」だけは妙に俗っぽくて好きにはなれないのだけど(西洋美女すぎてエヴァに扮したモデルさんみたい)、日本人でこれだけ宗教画を描ける人物はどこにもいないと思いました。
いつか、聖母礼拝堂で実物のフレスコを見てみたいものです。
さて、今回のメインビジュアルにも使われている猫を抱くフジタのポートレイト…いいですねえ。猫好きで有名だったフジタ、あらゆるところに猫が顔を出していますが、実に猫らしい表情と動きをとらえています。群像のデッサンでもびっくりしたのですが、やはり並大抵のデッサン力ではないですね。
図録の表紙は「群像」の一部。ここにも猫が! 主催者わかってらっしゃる!(笑)