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Archive for the ‘本’ Category

「ある母親の物語」

 母の日ですねえ。文学、音楽、美術…「母」は永遠のテーマです。芸術はマザコンでできているといっても過言ではありません(いや大げさですが…)。

 ふと、子供のころ読んだアンデルセンの「ある母親の物語」、母親になった今どう感じるだろうと思いました。死神に連れ去られた子供を、我が身を犠牲にして取り返しに行く母親のお話です。死神の行方を教えてもらう代わりに自分の持っているものを差し出す母親。子守唄や抱擁といった要求は「母性」を試されているのか、それとも奪おうとしているのか、それにしても壮絶極まりなく、童話として読むには厳しいものが…。私は「いばらを抱きしめて暖めてあげる」シーンがトラウマでして…というのは子供だから主観でしか見られなかったんですね。こんなことできるなんて信じられないと思ってたけど、今は考え変わりました。子供のためならできる!…と思う。母親ならば。

 …そう思っていたのも実は途中までしか覚えていなかったから。結末はよく覚えてないので、あらすじを検索してみたところ、「こんなだったっけ?」と驚愕。子供のころの記憶とは違ってましたねえ…。今再読したら泣けてたまらないんじゃないかと。終盤、子供の命の花を見つけるシーンがありまして…昔だったら「ああよかった、見つけられたんだ」と思うところも、たぶん印象が変わっているでしょう。ラスト、母親はある決断をします。たぶんそれは真の愛であり、神の意思でもあるのだけど…。何かモヤモヤしてしまう私は、やっぱり神とつながっていないのだなと思います。キリスト教的には納得できるのでしょうが、日本人には理不尽、という。子供に読んであげたいけれど、解説を求められたら難しい作品ですね…。でも母親の強さだけは、誰しも感じることができるのではないでしょうか。

主婦してます

 娘は生後二ヶ月半、手がかからなくなってきたと同時に、笑ったりいろいろ発声するようになったので面白くて目が離せない! 暇があればあやしたり添い寝したり…。楽しい。うふふふ。

 去年までは兼業主婦でしたけど、3ヶ月のブランクがあり、最近やっと主婦っぽい生活に戻りました。専業主婦してますが、ほとんど育児なのでかえって忙しいです。
 主人が洗い物やゴミ出しをやってくれるので(超絶進歩!)すごく助かっています。しかし、育児中心の生活のなかで、料理のモチベーションが下がってきたー!
これはいけないです。おいしい食事を作るのは私の義務ですから…。今までもたまにそういう時があったのですが、モチベーションを上げるには、私の場合、「料理の本を買う」! ネットでレシピ検索をしたり、自分で考えて作ることも多いですが、蓄積にならなくて…やっぱり本を読む方が手順が頭に入るしアイディアも湧きます。料理の本は写真もきれいなので楽しいですねー。

 今回購入したのは3冊。中華料理、イタリア料理、デザートの本。楽しみながらぼちぼちと…ですね。

料理の本

料理の本

「工場萌えF」

 工場萌えF
石井哲/大山顕 著 :東京書籍

 本日購入した本です。私は特にこっち系のおたくではありませんが、廃墟とか工場とかの造形や質感が好きなのは認めます。といっても、この本のような美しい工場写真をいかに見ようと、萌えるわけじゃありません(笑)。
 なぜ廃墟や工場が好きか?と言われれば、無骨な造形や鉄の色が好きということぐらいでしょうか…建造物は全般好きですしね。無彩色かヴィヴィッドな色好きという、極端な色彩の嗜好もあるかも。それから、何といってもそこに多くの時間が存在しているということ。古ければ古いほど美しく感じます。

 子供の頃、工場の煙突や巨大な建造物は「こわい」と感じていました。クレーンを見ると大泣きしていたし、社会科見学も楽しくはなかった記憶があります。夏休みごとに通っていた、信越本線の安中にある東邦亜鉛の工場群も、曇の日の不穏な印象が妙に強かったですね。
そんな私でも、大人になれば変わるもので…。一昨年の夕方、車で京浜工業地帯のあたりを通ったとき、その美しさに驚き! たぶん近くで見たらこわいんだろうけど、遠目では迫力に加えてなぜか静けさを感じました。中はちっとも静かじゃないんだろうけど。やっぱり照明の中に浮き上がる形や光の反射、空気の揺らぎが美しさを感じさせるんでしょうね…。
 去年の旅行で、新幹線で九州に入ったときも、小倉の工場地帯が見えて「うわ、九州かっちょいい!」と思ってしまったほどです(笑)。そのときも夜でしたが、昼間だったら印象が違ったかも。

 さてこの本には「工場萌え」の続編とのこと。前作は店頭で手に取った記憶があるのですが、購入に至らず…なぜ今回買う気になったかというと、ドイツの世界遺産・フェルクリンゲン製鉄所の写真が収録されているからなのです。これがもう、錆と古いレンガの異素材コラボがたまらなくいいです。稼働していない工場の静けさに、ゾクゾクします。

 本を見ていて思ったのは、工場って様々なパイプや煙突が入り組んでいますよね。隙間が多いんです。これが普通の風景や建物にはないパースペクティブと空気感を生んでいて、大きな塊と無数の線が生き物のような形を作り出しているように見えます。部分的には無機質でありながら、フォルムは有機的で面白いなと感じました。そしてそのフォルムを際立たせるのが照明なので、工場の魅力を伝えるには夜が一番、ということになるのでしょうか。
 収録されている写真はどれもかっこ良くて、撮影者の気合いを感じます。ただ、クロスフィルターを多用した写真は私の好みではないですけども、ピカピカした工場も非現実的でいいかも。そして、私のような見た目から買ってしまった読者のための、「工場鑑賞ガイドF」、大変役に立ちました。

タルコフスキーの写真集

 Andrey Tarkovsky,Giovanni Chiaramonte(著)/
 Instant Light: Tarkovsky Polaroids /Thames & Hudson 刊
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 「惑星ソラリス」「鏡」などで知られる旧ソ連の映画監督アンドレイ・タルコフスキーの、プライヴェートに撮影されたポラロイド写真を集めた作品集。収録作品は約60点、うれしいことにほぼ原寸で収録されています。カメラは少なくともフォーマットの違う2種類を使用しているようです。

 タルコフスキーの映画を観たことのある人ならイメージできるかと思いますが、一枚一枚が映画からそのまま切り取ったかのようで、手のひらに収まるタルコフスキーの芸術世界みたいな印象です。
 そもそもタルコフスキーの映像作品は、どこで静止しても絵になるくらい美しいです。テーマは重く、宗教的であり、まともに見ようと思うと眠くなったりしますが(すみません)、あまりにも美しいシーンの数々にどっぷり浸かるのがとても幸せ。
 そしてこの写真集にも、タルコフスキーならではの水や光の表現が随所に見られます。特に、もやに包まれた風景のトーンの美しさには息を呑むばかりです。決して派手ではない(映画が派手に見えるほど)けれど、侘び寂びとか、そういう境地に近いです。静かで寡黙な、絵画のような世界。ほんのちょっと、ドイツロマン派の画家、フリードリヒを連想しました。色あせた色調が独特のポラロイドですが、現代のきらびやかな映像を見慣れた人にとっては逆に新鮮に映るかと思います。
 
 ポラロイドはその場で現像出来ることから、一時的な記録など、割と軽い利用を見込んだシステムのはずですが、ここまで芸術的な写真を見せられると、描写力にすぐれたカメラであることに驚きます。もちろんそれは、タルコフスキーのセンスと映像への探究心があってこそ撮れるのであって、カメラに頼った写真とは全く違うことを痛感しました。それでもポラロイドの色合いはまさにタルコフスキーにぴったりです。

 ここにあるのはタルコフスキー自身の目を通して撮られた写真であり、映画よりダイレクトに訴える作品が多いと思われました。

発売中です

 作った本が今日から発売中です〜。今回は普通のゲーム誌っぽい表紙だったりします(笑)。本格的に作り始めて3冊目ですが、ボキャブラリーの貧困さに毎回涙してます。短ければ15文字、もっとこう、楽しさが伝わるように書きたいなあ。ああ、でもいい作品って、平面立体映像問わず、見た途端に言葉が思い浮かぶんですよね。一番難しいのは上手いけど伝えづらい作品で…これは画廊仕事の時も結構悩まされました。最終的に専門用語で逃げたりとかしていたのを反省。平易な言葉で伝えるって難しい…。
 さて、本の方は次号も、更にその次の号も出てしまうらしいので、頑張りますー。

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ダ・ヴィンチ・コード

 ダ・ヴィンチ・コード(上中下)
 ダン・ブラウン 著/越前敏弥 訳
 角川文庫
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 単行本は無視し続けてましたが、映画も公開されるし、文庫化されたので読んでみました。確かに一気に読めて面白いです。でもキリスト教に馴染みのない日本人にとっては驚天動地な内容でもなく、普通の娯楽ミステリーという感じ。もっとディープな美術ミステリーだと思っていたので、前半は良いのですがダ・ヴィンチから離れた後半はちょっとね。とかいいながら家族で回し読み(笑)。

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アントニオ・ロペス=ガルシア

 仕事で必要な資料を買いに、丸の内の丸善へ。ついでに洋書売り場を覗いたら、アントニオ・ロペス=ガルシア(ファッションイラストレーターのアントニオ・ロペスとは別人です)の画集がなんと半額の2000円ちょいで売っていました。更に見たことのない作品の載っているレンブラントの画集と併せて衝動買い。
 ロペスは現代スペインを代表するリアリズムの画家で、制作に非常な時間がかかるためか、なかなかまとまった作品集を見ません。その制作過程は「マルメロの陽光」というドキュメンタリー映画で見ることができますが、なかなかなかなか筆が進まないので本当に絵ができるのかと不安になるくらい。このドキュメンタリーは作品を仕上げるのを見せる目的ではなく、画家のリアリズムの追求に迫ったものだからいいのだ。

 欧米人は生々しいものを目をそらさずに見る。さすが狩猟民族。そしてロペスは、何の変哲もない室内や風景を、時間をそのまま封じ込めるようにカンヴァスに写していきます。一見、すごく上手だな、と思われる筆のタッチは、実は迷いながら幾度も塗り重ね、最後には絵画でしか表現できないリアルへ到達しています。
 アンドリュー・ワイエスは日本では非常に人気がありますが、ロペスが非常にマイナーなのが不思議。実は単にトイレとかを描いてるからじゃないだろうか…。

こなみかなた「チーズスイートホーム」

 チーズスイートホーム
 こなみかなた著/講談社/週刊モーニングにて隔週連載中

 電車で、目の前の男性が読んでいた『モーニング』。見る気がなくても見えてしまうのです。あ、ネコのマンガかな? と思わずチラ見…うわ、かわいい。それだけじゃなくてネコをよく観察してるなあ。あまり擬人化してないのも印象が良いです。マンガに疎いので滅多に買わないのだけど、見かけたら単行本で読みたいと思い、タイトルを覚えて帰りました。

 後日単行本2冊を購入し、抱腹絶倒の導入を期待して読み始めましたが、いきなり家族と離れてしまう子猫の描写がとても切なくて泣けてしまいました。予想外。こりゃ反則だ! ネコをめぐる騒動に涙が出るほど笑えるんですが、ときどきお母さんを思い出すシーンが挿入され、鼻をすすってしまいます。笑い泣きがいそがしい。
 それにしても実にネコの奔放さ無邪気さをよく表していて、ネコ好きならちょっとした一コマにも笑えてしまうでしょう。行動もいちいち「そうなんだよ!」と膝を叩いてしまうような、ツボを心得てますね。

 うちも6年前に初めてネコが家に来た時は、1ヶ月ほど大パニックでした。その時のこと思い出すなあ。ネコが身近にいるなら、誰でもひとつくらい、身に覚えのあることが出てくると思います。いや、特にネコ好きでなくてもとにかくかわいいので強くおススメ!

美術出版社「ちょっと知りたい美術の常識」

ちょっと知りたい美術の常識

 美術の基本的な知識を試せる本です。クイズ形式で、解説も短くまとめられているので非常に分かりやすいです。
 書店で手に取り、思わず最後まで解いてしまいました(買わずに…すみませんすみません)。ざっとですが、結果は8〜9割正解といったところで、美術全般について出題されるため、弱い分野だと途端にわかりません。
 私は西洋美術に関しての常識は十分で、東洋美術には弱いのがはっきりわかりました。あと歴史がからむと、西洋と東洋がごちゃごちゃになってしまう。さらに「○○は何メートル?」といった数字問題も弱いです(それが常識なの? という問題もあったけど)。広範囲にわたって出題されるため、美術というより雑学に近いクイズの本という感じがしました。もうちょっと突っ込んだ問題もあってよかったかも。
 これの「西洋美術編」とか「建築編」とか、専門的なシリーズがあったらいいな。

 それにしても、今の美大生はどれくらい解けるんでしょう。昔美大生だった絵描きさんと話していると、記憶は確かだわ好奇心旺盛だわで、みんな勉強家だなあと思うのですけど、最近の学生はちゃんと勉強してるのかな〜。

綾辻行人『暗黒館の殺人』

 暗黒館の殺人(上・下)
 綾辻行人 著/講談社ノベルス

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 綾辻行人氏の作品は結構好きで、とりわけ「館」シリーズのファンであるというのに、発売されてから未だに手が出なかった『暗黒館の殺人』、やっと読了しました。
 小説は小説の土俵で、断固として映像化を拒む姿勢に好感を持てる作家です。だから刊行されたときにすぐ読みたかったのですけど…。
 なにしろ本が重い! 厚い! これが遠ざけていた一番の理由なのです。実は文庫化を待っていました…情けないねえ。といいつつも、せっかくのミステリ大作を適当に読んで済ますわけにはいきません! 丁寧に読んでいかないと絶対後悔する! と、嵐の夜に雰囲気を楽しみつつ読みました(3日かかったけど)。

 我が家は母と弟も推理小説が割と好きで、この本は活字中毒の母が買いました。で、弟も先に読んでしまい、私ひとりが置いてきぼりだったのです。そのおかげで解決編に突入する前の「ここまで読んで謎解きしてね」ポイントを予め決めてもらい、私は解決編をうっかり読み進めてしまうことなく安心して謎解きすることができました。

 しかし…今回もやられてしまいました。見事にやられました。確かに設定や一部のトリックに「なんだこりゃー」というのもあるのですけど(だから人によっては期待はずれに終わる可能性もある)、メイントリックにはかなりびっくりしましたよ。

 私は物理トリックよりも叙述トリックのほうが好きです。読み返したとき「やられたー!」感が強いから。人を驚かせるアイディアだったら素人でも子供でも思いつくけれど、私にあるのはむしろ「騙されたい」という欲求です。プロフェッショナルが練りに練って作ったものだからこそ、「騙される快感」がある!
 特に綾辻氏のプロットや文体は悪意に満ちていて(これは作者本人が述べている言葉なので、賛辞と言っていいいでしょう)、騙されれば騙されるほどウレシイ(笑)。なぜか核心に迫る一歩手前で引き離されてしまい、悔しい思いをするのもまた作者の思うつぼなんだなあと思いつつ、快感。騙されちゃって嬉しいんですよ! わかります? わかります??

〜以下、ネタバレはありませんが、これから読む意志のある方は注意〜

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